お問い合わせ

公益社団法人全国産業資源循環連合会

公益社団法人全国産業資源循環連合会

いんだすとバックナンバー一覧

いんだすと最新号

最新号

『INDUST』2020年4月号 No.390

SDGs時代の循環ビジネス

 2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)は、持続可能な社会に必要な目標と具体的な取り組みを示している。産廃処理業はSDGsの担い手であり、事業の安定化、拡大に向けて展開を図る事業者も増えてきている。4月号ではSDGsを実践する産廃処理業の事例とともに、そうした事業者と連携している組織や研究機関の取り組みを紹介する。

特集

  • 巻頭言 SDGsをブームで終わらせないために
    TMI総合法律事務所 弁護士
    国連大学SDG企業戦略フォーラム事務局長
    北島 隆次

     今、SDGsはブーム化の様相を呈してきている。SDGsバッチをつけた人を見ない日はない。
     廃棄物処理業は、循環型経済の重大なプレーヤーであり地域に根差した産業でもある。筆者も参加した国連本部でのSDGsに関する会議でも、地域社会と企業の関係が議論されていた。そうした中INDUSTでSDGs特集が組まれることは大変意義深いと思っている。
     一方、こうした流れに一抹の不安も覚えている。2000年代前半、企業はこぞってCSR経営と言っていたが、今CSR経営が企業に根付いたとは到底言える状況にない。何故か? 各社が「わが社の事業をすることがCSRそのものだ」という考えに至り(決して間違ってはいないが)、それが「今のままでよい」といういわば現状維持的思考になってしまったことが大きな理由ではないかと考えている。
     国連で採択されたアジェンダ2030は、あるべき将来の世界を提示し、SDGsはそれを達成するための目標である。つまり、企業にとってSDGsとは、「わが社は既にやっている」ことを再確認するものではなく、「これからの世界や地域のために何をすべきか/何をしないべきか」を考える(事業戦略)ことに他ならない。丸紅が脱石炭火力に舵を切ったことは記憶に新しい。
     特に若者はSDGsへの関心が高い。彼らは、「やってるふり」の会社を選ばず、言葉と実態が合っていない会社にすぐ見切りをつける。そして、彼らにはSNSという強力な自己発信ツールを持っていることを忘れてはならない。
     SDGsにはビジネスチャンスも多くある。今般国連大学は京都市とは、SDGsの社会実装(ビジネス化)を目指して連携するのもその一環である。
     是非、今度こそ、ブームではなく、会社の未来のためにSDGsを役立てていただきたい(過去CSRコンサルタントであった時の自戒をこめて)。


  • SDGsを取り込んだこれからの資源循環産業
    一般財団法人日本環境衛生センター研修事業部
    事業推進役 鈴木 弘幸
     2030年までに全世界が目指す「持続可能な社会」の全体像を示すべく、15年9月に国連で採択され、そのカラフルな17色のロゴマークとともに、今や世界の「道しるべ」にもなったSDGs(持続可能な開発目標)。17のゴール(目標・ビジョン)とそれを具体化するための169のターゲット(達成基準)で構成されているが、本稿では資源循環事業者がこれからどのようにSDGsを活用した企業経営、社会的発信を展開していくべきかを、その序章として考察する。


  • SDGsを経営に活かすには
    ――先進事例と指南書を紹介――
    日経ESG経営フォーラム
    事務局長 斎藤 正一

     SDGsを経営に生かす企業が増えている。だが、産廃処理業界では経営に取り入れている企業は非常に少ない。先進企業では既に「新戦略の策定」「社員の啓発・奮起」「新ビジネスの創出」の3つのシーンでSDGsの活用が始まっている。月刊誌「日経ESG」(日経BP発行)で掲載した企業例を交えながら先進企業の事例を紹介する。SDGsの指南書を引用しつつ、どのようにすればSDGsを経営に取り入れていけるのかを考えてみたい。


  • 全社のモチベーション向上へ
    ――社員と会社が一体に――
    株式会社タカヤマ
    専務取締役 齊藤 康祐

     汚泥を中心とした廃棄物処理業を営む株式会社タカヤマは、卓越した経営を行う企業を目指し様々な組織改善活動を行っている。その過程でSDGsと出会い、推進を開始した。中小企業がより効果的にSDGsを展開するためには全社の一体感が欠かせないと考え、何よりも社員の理解と共感を意識した取り組みを実施し、着実に社内へSDGsを浸透させている。今後はさらに経営への統合を進め、持続可能な社会の実現に向けた活動を行っていく。


  • 地道な活動で見えてきた環境産業の役割
    ――石坂産業・石坂知子専務取締役に聞く――
    編集部

     地元住民からの事業撤退など窮地に追い込まれるなど、ダイオキシン問題で多大な影響を受けた石坂産業(埼玉県)は不法投棄場と化した周辺の森を見事に再生させる地道な環境保全活動が実り、現在は農業や環境教育など、環境をキーワードにした事業展開を図りながら、本業の建設廃棄物の中間処理業でも100%リサイクルに肉薄する資源循環業者として地位を確立している。専務取締役の石坂知子氏から話を聞き、SDGsの観点から同社の取り組みを考察した。


  • SDGsから未来の市場を形成
    ――既存スキームによらない展開を――
    アミタ株式会社インテグレート事業本部  
    サステナビリティ・デザイングループソリューションチーム
    松田 弘一郎

     SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の一般化と共に、産業界全体において、従来の発想の延長ではなく、サステナビリティを前提とした市場形成・事業展開が求められている。これは産業廃棄物処理業界においても例外ではなく、むしろSDGsの17目標のうち「9:産業と技術革新の基盤をつくろう」や「12:つくる責任 つかう責任」を中心に、大きな役割を果たすことが期待されている。  SDGsは、MDGs(ミレニアム開発目標)に代わる新たな目標として、2015年に国連で採択されたものである。MDGsが見据えていたのは“現時点での世界の諸課題をいかに解決していくか”というフォアキャスト的なアプローチであったのに対し、SDGsでは“まだ見ぬ持続可能社会の実現に向け、どのようなアクションを起こすか”というバックキャスト思考によるアプローチが求められる。本稿ではこのようなシフトに向けて、産業廃棄物業界の課題解決や発想転換のためのヒントを記しつつ、弊社の新たな市場形成に向けた取り組みを一例としてご紹介する。


  • SDGsを環境ビジネス(事業)にどう活かすか
    大幸グループ 大阪ベントナイト事業協同組合
    代表理事 浜野 廣美

     環境ビジネスを円滑に営み、次の世代に円滑に引き継ぐためには、国際標準規格ISOの厳守、国連採択SDGs(持続可能な開発目標) 1) の達成、ESG(Environment:地球環境)・(Social:地域社会)・(Governance:企業統治)経営1) 、CSV(共通価値の創造)1)、CSR(企業の社会的責任)、温暖化対策(CO2削減)などが最優先事項となる。しかし、こうした外来語や専門用語を正確に翻訳・理解し、日常の経営や業務で流暢に使いこなすには、高度な知識と豊富なスキル、膨大な時間が必要である。通常、日本語で読み書きしている者にとっては、そうたやすいことではない。  大幸グループでは、「津波避難ビル兼車両センター」(以下「津波避難ビル」と呼ぶ)建設を行った。また、SDGsとESG金融投資基準1)を用い、大幸グループCSR報告書をESD(持続可能な開発のための教育)2)の教材として使用した授業支援を行った。本論では、外来語や専門用語と向き合い、環境ビジネス(本業)にどう活かしてきたか、創業から今日までの取り組みを紹介する。

  • 市民社会と自治体の連携強化
    ――結びつくことで、個ではできない成果を――
    一般社団法人SDGs活動支援センター
    代表理事 小島 政行

     (一社)SDGs活動支援センター(以下SACS)は、その名の通り市民、市民社会、企業、自治体が行うSDGsにまつわる活動を支援する団体として設立された。本拠地は神奈川県鎌倉市であるが、活動の範囲は全国におよぶ。まさに、市民社会と自治体との連携強化による課題解決の支援窓口でありたいと考えている。  SDGsについては、市民社会が多くの事例と知見をすでに持っている中での、すなわち平素の活動がSDGsであったことに気づく中での、自治体の後発、すなわち市民社会に押されての自治体のSDGs対応が散見される。SDGs課題を市民社会との連携強化で行うこと自体が課題といえる。  市民社会との連携なくして自治体がSDGs目標を達成することは考えられない。本稿ではプラスチック削減など、自治体との連携で展開している様々な事例を紹介する。廃棄物処理事業者によるSDGsの活動の参考にしていただきたい。

  • 官民協働による地球温暖化防止の取り組み
    NPO法人環境ネットワーク埼玉
    事務局長  秋元 智子

     当団体、NPO法人環境ネットワーク埼玉は設立して約15年経過し、環境保全活動の中でもSDGs(持続可能な開発目標)13番目の気候変動対策を中心に活動を行っている特定非営利の環境団体である。特徴としては、「地球温暖化対策の推進に関する法律」第38条に定められている「埼玉県地球温暖化防止活動推進センター」(以下、センターという。)を、埼玉県知事から指定され運営を行っている。県内の様々なステークホルダーとネットワークを組んで、脱炭素社会の実現を目指し活動を行っている。活動を推進するには行政、企業、市民団体、個人とのネットワークがとても重要である。環境保全の最前線にいる産廃処理事業者もここでの取り組みと合わせて、組織的にSDGsを進めていくことも必要だと考えている。当団体の取り組みを通じて、協働できるものを探ってほしい。

  • 廃棄物処理を原動力とした地域活性化の可能性
    公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)
    西山 徹/劉 晨/渡部 厚志

     廃棄物処理には、地域における資源循環の軸として、ならびにエネルギー供給源として、地域の経済と社会を活性化し地域レベルでのSDGs達成や地域循環共生圏の実現に貢献するポテンシャルがある。本稿では、国内の2つの事例を紹介し、廃棄物処理を地域活性化に役立てる上で今後求められる取り組みを提案する。

この書籍を購入する

いんだすとバックナンバー

バックナンバーリスト