環境省が1月に公表した不法投棄の新規判明件数は、ピーク時の平成 10年代前半に比べて、大幅に減少しているものの 2019 年度は年間151件、総量7.6万t(5000t以上の大規模事案計4.2万t〈2件〉含む)もの悪質な不法投棄が新たに発覚し、いまだ跡を絶たない。産廃処理事業のマイナスイメージとなるこの不法投棄について11月号では大規模不法投棄事案を振り返るとともに不法投棄の現状と財政支援、さらに不法投棄未然防止に向けた自治体の取り組みや監視技術について解説。また、し尿の廃棄、不法投棄の歴史についても紹介する。
特集
不法投棄対策は2004(平成16)年に「不法投棄撲滅アクションプラン」が発表されており現在の対策もこれを維持、継続、発展させたものと感じられる。不法投棄対策に限らず、アイテムは時代とともに進化するが、これらを使いこなすのは「人」である。人材の育成こそ最大の不法投棄対策と言えよう。
「岩手・青森県境不法投棄事件」は、国内最大級の広域的な不法投棄事件として国内に広く知られ、その後のわが国の廃棄物行政に大きな影響を及ぼした。本県では、この事案を教訓として、産業廃棄物の適正処理監視体制の見直しや条例制定などにより、産業廃棄物の不適正処理に係る未然防止対策を強化してきた。
本稿では、事案の概要とその検証、事案を通じて本県が得た教訓や、これまで取り組んできた未然防止対策について紹介するとともに、今後の展望についてまとめた。
全国的に不法投棄件数は、ピーク時の平成10年代前半に比べて大幅に減少してきている一方で、悪質な不法投棄が新規に発覚する等、いまだ跡を絶たない状況にある。このような状況の中、広域的に移動する産業廃棄物の不法投棄等に対応するため、関東甲信越および福島、静岡エリアの自治体が連携した産廃スクラムの枠組みを生かし、様々な不適正処理防止に取り組んでいる。ここでは、その取組について紹介する。
三重県では、不法投棄の大部分を占める建設系廃棄物対策を廃棄物の監視・指導業務の重点課題と位置づけ、不法投棄等不適正処理の撲滅に向けた取組を行っているところであり、本稿ではその一例を紹介する。なお、本稿は、令和3年10月に解体工事に関する法令を所管する国・県の行政機関及び業界団体と開催した「解体工事に係る連絡調整会議」における配付資料を一部修正したものである。
投棄者等の資金不足などの理由から、 都道府県等が不法投棄・不適正処理された産業廃棄物による生活環境保全上の支障の除去を行う場合、 当財団では法律で指定された産業廃棄物適正処理推進センターとして基金からの財政支援を行っている。支援は、 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)に基づく支援事業と特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(以下 「産廃特措法」 という)に基づく支援事業の 2 つに区分される。
静岡県熱海市で7月に発生した土石流災害を機に、「盛り土」や「建設発生土」の問題点がクローズアップされている。そこで、建設発生土の処理の実態、地方自治体による残土条例制定および改正の背景や経緯、そして国による一元的な規制の必要性について述べる。
街のあちこちで見かける「不法投棄監視中」の威嚇抑止看板とビデオカメラ。今回紹介するのは、こうした抑止策でも収まらず、3~4カ月に1度12万円程の不法投棄物撤去作業費のコストを使っていた賃貸マンションの事例。物件価値の維持のためにも、不法投棄撲滅は重要な経営課題だった。IoTソリューションを使った「不法投棄監視システム」と「運用の工夫」で繰り返されていた不法投棄を解決できた事例をここに紹介する。産業廃棄物の不法投棄の監視の実績ではないが、参考にしていただければ幸いだ。
人の視線の位置にあったアングルが、一気に数十mの高さのアングルに変わるなど、テレビや映画を見ていると、これまで表現できなかった撮影が頻繁に行われるようになってきた。ドローンが登場してからだ。このようにスポーツやエンターテインメントの表現は明らかに変わってきているが、ドローンはこうしたスポーツやエンターテインメントの世界だけではなく、建設業界、観光業界など、様々な業界に役立っている。廃棄物の世界でも不法投棄の監視などに使われている。ただ、不法投棄の抑制、不法投棄者の特定、コストなどを含めてまだ効率的な活用方法は確立されていない。