6月号の特集「災害廃棄物処理の教訓と展望」の後編として、8月号では平成30年7月豪雨時の岡山県産業廃棄物協会の対応や、令和元年東日本台風の災害廃棄物の中間処理に関わったアイザックや東武商事の事例を紹介。また、日立造船による施設の浸水対策の解説や、高いリサイクル率を達成した鴻池組の災害廃棄物処理事例にも触れる。そのほか、環境省が作成した「災害時の一般廃棄物処理に関する初動対応の手引き」も掲載する。
特集
岡山県産業廃棄物協会では、県との協定に基づき支援要請のあった市町村の災害廃棄物処理業務を協会が直接受託し、会員の協力を得て実施する体制で取り組んでいる。平成30年7月豪雨災害(以下「西日本豪雨災害」という。)において当協会が行った災害廃棄物処理支援の概要と教訓、今後の対応等について、事務局の視点からご紹介する。
未曾有の災害が発生した場合、早急な地域復興のために、我々産業廃棄物処理業者は、どのように一般廃棄物である災害廃棄物を適正にスピード感をもって処理することができるか検討が必要である。事前の準備をしっかり行い、「知識」と「経験」と「高度な施設」と「緻密な計画」をもって取り組むことが大切だ。
2019年10月12日に日本に上陸した令和元年東日本台風は、関東地方、甲信地方、東北地方などに甚大な被害をもたらした。同台風で栃木県内の被災自治体で発生した災害廃棄物の中間処理を行ったのは東武商事だ。同社にとって災害廃棄物の中間処理は初めてで、通常の産業廃棄物処理と併行しての処理となったが、各種許可の手続きに時間を要したことを課題に挙げている。同社営業部の部長・戸田登氏と、那須塩原市の那須総合リサイクルセンターと那須環境センターの工場長、佐藤学氏から許可手続きや処理の経過を聞いた。
同本部環境営業統括部環境ソリューション営業部 白井 俊成 ながの環境エネルギーセンターは周辺住民が安心して生活できる環境にやさしい施設、持続可能な地域振興に貢献できる施設として、2019年3月に長野広域連合が整備したものである。本稿では、近年多発している台風や集中豪雨等の災害に対し、地域の防災拠点として本施設で講じている浸水対策を紹介し、その一例として当社の独自技術である自動起動防水堤「neo RiSeR」を取り上げる。また、令和元年東日本台風で発生した災害廃棄物(水害ごみ)の処理対応について述べる。
平成30年7月豪雨により、広島県東広島市では市内ほぼ全域で斜面崩壊等が発生し、同市内の被災家屋は約4400件にのぼり、約7.1万tの災害廃棄物が発生すると推計された。株式会社鴻池組は、ガレキ混じり土砂の二次仮置場への運搬と、二次仮置場におけるガレキ混じり土砂と廃家財等建物解体廃棄物の中間処理を実施した。最終的に当社受託分約5.7万tの災害廃棄物を中間処理し、96.9%の高リサイクル率を実現した。
環境省が作成した「災害時の一般廃棄物処理に関する初動対応の手引き」を掲載する。同手引きは第1章から3章で構成、第1章では関係者と連携した処理体制づくりや、これまでの災害廃棄物処理における初動対応の混乱事例を示し、その際の対処について解説している。「災害時初動対応」と題した第2章では「災害発生」から「収集・処理方針の判断」、「災害廃棄物の処理体制の確保」、「継続的な一般廃棄物処理体制の確保」などをチャートで解説しているほか、参考資料として「災害廃棄物等の発生量の推計」を掲載している。今特集では第2章までを掲載し、次号で第3章「円滑かつ迅速な初動対応のための事前検討」を掲載する予定。