建設汚泥等の産業廃棄物を原材料として製造される建設資材(以下「建設汚泥再生品等」)は、一般にその利用先に搬入されるまでは産業廃棄物として扱われる。この建設汚泥再生品等は、市場に流通している建設資材と同等の品質であったとしても、一般的には産業廃棄物規制の対象物と見なされるため、その利用普及がなかなか進まないという問題がある。このような状況の中、2020年7月20日付けの環境省通知「建設汚泥処理物等の有価物該当性に関する取扱いについて」によって、一定の要件をクリアした建設汚泥再生品等については、当該再生品の製造された時点において産業廃棄物規制から外れ、一般の建設資材と同じように取扱うことが可能となった。この通知に示された一定の要件に基づき、(公財)産業廃棄物処理事業振興財団は「建設汚泥再生品等の有価物該当性に係る認証業務」をスタートさせており、今後の建設汚泥再生品等の利用促進に期待が持たれている。12 月号では、これらの建設汚泥再生品等を巡る動きを探る。
特集
本稿では、「建設汚泥再生品等の利用促進に関する検討会」で議論されてきた原料および製品の品質管理の考え方、管理基準について当時の内容を解説した上で、現在の認識について述べた。廃コンクリート再生砕石は道路用路盤材として、そして、建設汚泥再生品は地盤材料として、これまで地盤に近い場所で使われてきたが、ハイブリッドソイルとそれを扱う認証制度が、廃棄物該当性に関わる再生品流通の支障を取り除くことを主眼に置き、法制度面、 技術面の双方向の議論を積み重ね、当時設定された管理項目と認証制度に帰結したわけである。そこから数年が経過し、筆者としては、このような制度ができたことで、公共工事に使われる再生材の考え方も変化があると考えている。「制度」は「運用」によって変化し続けるものである。認証をうけた機関が 4 機関となり、ロールモデルを他社も視認できるようになってきていることが影響を与えたように考えている。
「あいくる」は愛知県の基準に適合したリサイクル資材を「あいくる材」として認定し、「リサイクル評価基準」などの3つの要素を関連させて運用を行っている。「あいくる」の特徴は公共工事での利用を前提とした評価・認定制度であることなどが挙げられ、愛知県等の公共工事で率先利用を図る制度で運用開始から今年で20周年を迎えた。「あいくる材」は品質確保の取り組みとして、工場検査などを行っており、普及促進に関する取組みとしては「あいくる材見本市」などを実施し、20年間で、総計約812万tの再生資源を利用するなどの実績を上げている。今後も「あいくる」の適切な運用と、さらなる普及拡大とともに、「あいくる」をとおして循環型社会の形成に積極的に取組んでいきたいと考えている。
全国産業資源循環連合会(以下、「全産連」)は、全産連に設置した建設廃棄物部会建設汚泥分科会において「建設汚泥再生品の利用促進のための提案」を、再生砕石分科会において「再生砕石の利用促進のための提案」をそれぞれ2016年にとりまとめ公表した。これを環境省や国土交通省などの行政、建設業団体、産業・資源循環議員連盟に説明し、理解を得るための活動を展開した。その結果、2020年7月20日付けの環境省通知「建設汚泥処理物等の有価物該当性に関する取扱いについて」で、一定の要件をクリアした建設汚泥処理物等(建設汚泥処理物及び再生砕石並びにこれらを原材料とした物)については、当該再生品が製造された時点において有価物として取り扱うことが適当であるとされ、一般の建設資材と同じように取り扱うことが可能となった。全産連ではこれを契機として、全国の公共工事への需要拡大に期待を高めている。ここでは全産連建設廃棄物部会部会長の藏本悟氏に、これまでの経過と今後の展望について聞いた。
本業務は、建設汚泥やコンクリート塊に中間処理を加えて建設資材等として製造されたものについて、「各種判断要素の基準を満たし、かつ、社会通念上合理的な方法で計画的に利用されることが確実であることを客観的に確認できる」か否かの審査をし、その確認ができた場合にその旨の認証を行うものであり、2021年8月の業務開始以降、2022年10月末までに計5件の認証を行った。業務の実施状況と今後の展望等を紹介する。
首都圏における建設汚泥やがれき類の中間処理工場では、季節や都市開発の進捗状況により廃棄物の搬出量および再生品の利用量との間に需給ギャップが生じる。首都圏の中間処理工場は狭隘な敷地のため、需給ギャップ期間の長期化により止むを得ず受入を断る場合や中間処理単価の値上げなど建設工事に影響をもたらす要因となっている。産業資源循環事業の根幹は、売却先・二次処理先の確保である。一方、業界だけで需給ギャップを解消するには、 資源循環業界だけでは困難な問題であると考える。本稿では、弊社が認証を取得した実績を踏まえ、現在リサイクル製品がおかれている現状より今後の課題および展望について私見を含め述べる。
筆者は、再生品を製造する大阪ベントナイト事業協同組合代表理事、また、公益社団法人全国産業資源循環連合会(以下、全産連)建設廃棄物部会部会長(当時)として、コンクリート再生砕石と建設汚泥再生土を混ぜたハイブリッドソイル事業を推進する活動を行ってきた。この活動から(公財)産業廃棄物処理事業振興財団によって2022年10月4日現在、2つのコンクリート再生砕石施設と3つの建設汚泥再生施設が認証された。本論では、ハイブリッ ドソイルの性状などの概要を紹介する。また、大阪ベントナイト事業協同組合の建設汚泥処理土の原料である沖積粘土の紹介、それを原料に建設汚泥再生施設第一号に認証されたハイブリッドソイル事業に対応した堺プラントの紹介を行う。
2020年7月に環境省から建設汚泥処理物等の有価物該当性に関する通知が出され、条件付きで、処理した汚泥が廃棄物から有価物となるタイミングの見直しがなされた。これを機に新たな認証制度が立ち上がったこともあり、汚泥の再利用が促進されることが期待される。当社は建設汚泥に特殊固化材を添加・混合し、短時間に造粒固化し再生資源化するシステムを長年推進してきた。以下、取組み内容および現場事例について説明する。