食品廃棄物や生ごみなどの有機性廃棄物のリサイクル方法の一つとして、メタン発酵によりバイオガスを生成し、電気・熱にエネルギー利用する取組みが進められている。食品廃棄物など含水率の高い廃棄物は焼却時に燃料を使う必要があることに対して燃やさない処理としてバイオガス化技術は開発されてきた。そして、廃棄物処理に脱炭素化が求められる中、再び注目されている。10月号ではバイオガス化のメリットや見えてきた課題を整理するとともに、脱炭素化に果たす役割を考察する。
特集
2050年温室効果ガス排出実質ゼロに向けて、廃棄物・資源循環分野における排出削減の検討を早急に進めることが不可欠である。本稿では、メタン発酵施設によるバイオガス化の話題を中心に、「2050年温室効果ガス排出実質ゼロに向けた中長期シナリオ(案)」における脱炭素に向けた議論を紹介するとともに、これまでの環境省の支援、現在実施している実証事業等について解説する。
食品廃棄物のリサイクル方法の一つとして、メタン発酵によりバイオガスを生成し、都市ガス原料や電気・熱エネルギーとして利用する取組みが進められている。食品廃棄物など含水率の高い廃棄物は焼却時に燃料を使う必要があることから燃やさない処理としてバイオガス化技術は確立されていたが、廃棄物処理に脱炭素化が求められる中、焼却量を削減できる として再び注目されている。バイオガス化が脱炭素化に果たす役割や焼却処理と比較した経 済性を考察するとともに、これまでのバイオガス化によるエネルギー回収の取組みから見えてきた課題を整理する。また、バイオガス事業の事例と実績のあるバイオガス化関連技術について紹介する。
浄化槽管理や農業集落排水処理施設、下水処理場、ごみ処理施設の維持管理などを展開している青森県十和田市の県南環境保全センターは、2020年4月1日に県内で初めて一般廃棄物、産業廃棄物が原料のメタン発酵処理施設「バイオガスエネルギーとわだ(通称:B-GET)」処理能力80KLを稼働させた。同施設は稼働から2年半が経過して順調にメタン発酵バイオガス発電を行っている。同社業務本部次長バイオ施設管理課長の今泉慎吾氏に現在の状況などを聞いた。
食品廃棄物のリサイクル方法の一つとして、再生エネルギーを回収できる「メタン化」への注目は高まりつつあるが、普及拡大にあたっては小型化が欠かせない。ビオストックは、取り回しが容易で遠隔監視システムを装備した超小型バイオガスプラントを開発し、社員食堂の食べ残しを活用してエネルギーや肥料を創出する都市型循環エコシステムの実証を開始した。また、調布市との連携による学校給食調理残菜再資源化と環境学習の取組みを推進している。
廃棄物の中間処分、収集運搬事業を行うJ&T環境は食品リサイクル事業を事業拡大の柱の一つと位置付けており、食品リサイクル工場を全国6カ所に展開している(建設中含む)。全施設の処理能力合計508t/日、発電能力6650kWと国内最大規模の食品リサイクル・バイオガス発電事業者である。本報では、J&T環境グループ内で食品リサイクルのマザー工場に位置づけられるJバイオフードリサイクル(以下、Jバイオ)の工場紹介と、CO2削減に関連する取り組みを紹介する。
欧州で生まれた縦型乾式メタン発酵技術は、家庭や工場から排出される有機性廃棄物を原料として約40カ所の稼働実績を有している。日本国内の独占販売権を取得後20年が経過し、国内での納入実績を積み重ねることができている。日本は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた様々な取組みを行っており、創エネルギーかつGHG排出削減効果をもたらす本技術は、カーボンニュートラルの実現に貢献できると考えている。
磐田化学工業は事業の 1 つとしてメタン発酵による廃棄物処理を行っている。当社のメタン発酵は高温メタンであることが特徴である。高温メタン発酵を実用レベルで長期間にわたり実施してきた数少ない例である。現在は発酵処理が困難な廃棄物への対策に取組んでいるところである。またメタン発酵をコア技術として他事業と連携した「環境貢献型モノづくり」の提案活動に取組んでいるところである。
昨今再生可能エネルギーが注目を集めている、その中でもメタン発酵の過程で発生すイオガスを利用した発電について紹介する。バイオガス発電は安定した再エネ電源としての特長があり、これまでの普及状況や課題、弊社の取組み、試算を解説する。弊社は発電機メーカーとして累計800台以上納入してきたが、今後もバイオガス発電が安心して、導入・運用できるよう貢献していく。