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いんだすと いんだすと2017年10月号 No.360

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静脈産業における業界再編
みずほ情報総研株式会社 環境エネルギー第1部 森口 健生、秋山 浩之
 近年では、廃棄物処理・リサイクル業を中心とするわが国の、いわゆる「静脈産業」において、企業の業務提携やM&A の動向が新聞でも取り上げられるようになっている。わが国の静脈産業は大手企業を中心に、従来の廃棄物処理事業からリサイクル事業、再生可能エネルギー事業等へと事業の多角化を進めてきた。さらに、国内だけではなく、近年では積極的に海外へ事業展開する企業も出てくるようになった。しかし、わが国の静脈産業は、海外の静脈産業メジャーと呼ばれる廃棄物処理・リサイクル業を中心とした、グローバルに事業展開している巨大企業に比べると、設備・装置系の企業を除けば、中小規模の企業が大多数であり、静脈産業メジャーに匹敵する規模の企業は存在しない。その一方で、近年では静脈産業メジャーに対抗できる企業を目指し、業務提携やM&A により、企業規模の拡大を図る動きもみられる。本稿ではわが国における静脈産業、特に産業廃棄物処理業を取り上げ、その業界構造と近年の業務提携、M&A の動向から、今後の業界再編の方向性について考えてみたい。
高度循環型社会の実現に向けて今何が必要か
--業務提携で立ち上がるスズトクHD
 わが国の人口は間違いなく減少傾向にあり、人口動態も都市部への集中化が進み、地方の過疎化が進展してきた。また、海外資本企業による社会インフラ事業への参入や、欧州連合(以下「EU」と称す)によるリサイクルシステムの国際規格化等が進められている。今こそ、資源リサイクル業と廃棄物処理業が一体となった静脈産業を作り出し、国内のごみ行政の下支えの役割を担うとともに我が国のリサイクル技術がガラパゴス化しないように、ありとあらゆる連携を模索し実行する時である。
あるべきM&A の姿を問う--「ATHD」の進化
株式会社アドバンティク・レヒュース 代表取締役社長 堀切 勇真
 M&A や業務提携という言葉は諸刃の剣であり、解釈を間違えれば世の中から大きな誤解を呼ぶ。経済紙などでは、華々しく立ち回ることによって、勝ち組のイメージをほしいままにする企業が登場する反面、その裏では、生活の不安にさらされ、泣いている人、特に従業員の方々も数多くいるのが実態だ。「何のためにM&A をするのか」。企業同士のM&A の先には社員が、社員のさらに先には数多くの家族がいることを決して忘れず、誠心誠意「真心」を持って実施されるM&A が増えていく社会的風土へ――。当社グループは、常にそれを念頭に置き、そのような社会における廃棄物処理業の一翼を担いたいと強く願い、業容の拡大に努めている。
業務提携から「R2S 株式会社」の設立
--太陽電池モジュール大量廃棄に向けた事業拡大のチャンス
アールツーソリューション株式会社 営業部長 木下 暁子
 再生可能エネルギーにおける太陽光発電の普及拡大後、それに供する太陽電池モジュールの大量廃棄が2039年以降に見込まれている。当社は、太陽電池モジュールのリユース・リサイクル事業の推進による適正処理に向け、業態の違う4社での業務提携を行い、シナジー効果を発揮したビジネスモデルの構築を目指してきた。大量廃棄がまだ20 年以上先の将来のことだと考えるのではなく、「今」起こりつつあることだと意識し、課題解決を目指してきた。その成果として、企業間の業務提携から株式会社設立を行い、事業の確立を行った。業務提携による各社の強みを生かして、今後廃棄される太陽電池モジュールのリユース・リサイクルを全国に展開していく。
企業間連携と産業廃棄物処理業界 --甲陽興産、期限迫るPCB 処理を縮図として
甲陽興産株式会社 経営企画室 室長 辻 孝博
 業界の未来を切り拓くカギとなる他社との業務連携とは何か。甲陽興産が仕掛ける日本PCB 全量廃棄促進協会とは。弊社が実践する協業によるビジネス手法を通じて紹介する。
危機、そして成長する大栄環境--M&A で「全国深耕」排除せず
編集部
 大栄環境は「2つ目の危機」を見据えている。現在の同社本部(兵庫県神戸市)が所在する地元・近畿地方都市部を中心として、甚大な被害をもたらした1995 年1月の「阪神・淡路大震災」では、同社が震災廃棄物を受け入れた2つの最終処分場において残余量を激減させた。地域のみならず自社事業の「危機」ともなった震災だったが、全社の総力で、まずはそれを乗り越えた。一方で今、同社は業界構造そのものが抱え込む第2の危機を直視する。「それは、誰だって『ゆでガエル』にはなりたくないでしょう」と、執行役員・下田守彦氏は述べる。業界・企業の緩慢な死――?ゆでガエル?を回避する戦略について、「これまで通り、M&A が位置づけられていることは変わりありません」と断言。さらなるM&A による全国展開の深耕も予感させながら、危機を乗り越え成長を目指す同社は、一体何を見ているのか。
青年部がさぐる異業種連携の可能性
--トラック協会、倉庫業協会との会員?相互入会?も<編集部br />
 全国産業廃棄物連合会の青年部協議会は、現・仲田陽介会長の言う「部会は業界の『実働部隊』」との役割意識の下で、多くの斬新な事業に取り組んでいる。その一つとして、業界内のみならず、他業種も巻き込み展開しているのが「異業種交流会」だ。全日本トラック協会青年部会、倉庫業青年経営者協議会のそれぞれの青年部と交流を重ね、産廃処理業界に新たな風を呼び込んでいる。相互の意見交換を経て、業界同士の考え方・意識の相違や、持ち味、改善点などを共有しつつ、近年、協働で被災地において植樹などの社会貢献活動も実施した。未だ数社の実績にとどまるものの、相互理解を深めたことで業界団体それぞれへの会員?相互入会?を促したなど、協会事業にも貢献した。「我々の業界のために目指すべきビジョンは、私たちなりにありますし、全国の青年部の皆様の助力も頂きながら、しっかりとした手応えにつなげております」と話す仲田会長と、青年部役員会の方々に話を聞き、まとめた。